5.玄関ドア開けられかけたり、ドアポスト開けられかけたり

これまであげてきた通り、このマンションに越してからわたしは不思議な体験ばかりしている。

 

記事1.越してきて二日目頃、いきなり玄関ドアをガンガンガンガンと殴られたり。

 

記事2.一ヶ月と経たない頃、粗大ゴミを出そうとしたら隣人が扉を開けてこちらを見てきて、終わって部屋に戻る時にはその人がドア全開にしてて、一年後その粗大ゴミがわたしの名前のイニシャルで出し直されていたり。

 

記事3.郵便物が盗られて、管理会社に監視カメラの確認を申請したら断られたり。

 

記事4.わたしがゴミを捨てようと部屋を出て階段へと歩き出した途端、5つ隣の部屋の扉が開き、男が扉越しにカニ歩きでぬっと顔を出してこちらを見て、引っ込んでいくと言う体験を3回ほどしていたり。

 

それで、わたしは本当に警戒心が高くなって、玄関ドアに幾つかの対策を予めしておくことにした。

 

それは玄関ドアノブの上に空のペットボトルを置いておくことと、ドアポストを開かない様にすること。

 

結果的にこの対策は功を奏した。

 

ある日部屋にいる時、急に、キュイッガタンッカランカランカラン、という、音が響いた。

一瞬で凍りつく。

もしやと思って玄関ドアの方を見て、なお愕然とした。

 

ペットボトルがなくなっている。

落とされたんだ。

それで、今の音がドアノブが下げられた音と、それでペットボトルが落ちた音なのだってわかった。

 

念の為断っておくと、このペットボトルが勝手に落ちたことはそれまでもそれからも一度もない。

 

置き方は一定に、そして自然に落ちないことを確認して、ずっとそうしているけれど、この時以外に落ちたことはない。

 

それに、もし勝手に落ちたんなら、それまで長時間耐えていたのも変だ。

 

そもそも、寝ている時にドアを開けられそうになったら少しでも気づける様にとペットボトルを乗せていたけれど、これが起きた時には起きていたから、ドアノブが下げられた音と、扉が引かれて錠が引っかかったった振動音も聞いていた。

 

だから、扉が開けられそうになったことは確実なんだ。

 

また別の日。

夜遅く部屋でゆっくりしていると、パリパリパリっと、ドアポストから音。

かねてからの不審な現象続きで、警戒心が高まって、自分でもヤバい感あるなと思いつつも、あかないように内側だけ目張りしていたそれが、どうやら今、役に立っているらしい音。

それは数秒鳴り続けて、そしておさまった。

 

夜遅く、いつもの検針の日でもないし、そもそも検針の人達はわたしの部屋がそうなっていることは把握して久しかった。

 

郵便や宅配の予定もない、そもそもインターフォンが鳴らされていない。

 

念の為翌日集合ポストを見たけど、そこにはそれらしい書類はなく、いつも意図的に残してるチラシしか入ってなかったから、やっぱり何か正当な用事があってドアポストに何かを入れたかった人じゃないんだということは、明らかだと思った。

 

誰かがドアポストを開けようとしたんだ。

そう言う事例は以前からネットで見かけていたし、ネットの怖い話でも見かけたことがあるから、それで念のためとしていた対策だったけれど、やっておいてよかった。

 

実際その時ドアポストを開けようとした誰かが、どんな目的でそんなことをしていたのかはわからないけれど、少しだけ剥がれた内側の目貼りだけが残った。

 

わたしはそれを補強しながら、次はどんな変な体験をするのかと、気が遠くなる思いだった。

 

越してすぐ扉を叩かれ、粗大ゴミや郵便物を盗まれたり、ごみ出しを見張られたり、ドアやドアポストを開けられそうになったり。

 

これで終わればよかったのだけれど、しかしこんなのは氷山の一角にすぎないのだった。